MCヘッドアンプの質問が来たので回答。真実をお伝えします。理解できればこんなものかと思います。
はじめに
MCヘッドアンプの入力開放すると大きな雑音が聴こえてきます。
そのためにアンプ側の入力に入力されるものに影響の出ない数倍程度の抵抗を入れています。
ヘッドアンプの場合は100Ωくらいです。何もつながないでボリュームを上げるとサーという大きな音を経験した方も多いと思います。
一部で極端なハイインピーダンス受けやMMにつないでも使えるとかやっていますがそのカラクリを説明します。
下図の通りMCカートリッジの巻き数は非常に小さくインピーダンス=直流抵抗とみなすことができます。
MCヘッドアンプの入力に極端な高い抵抗が入っても下図の下段のように等価的には並列になるので入力インピーダンス=MCカートリッジインピーダンスに限りなく近くなるわけです。ご自身でMMフォノの47KΩに3ΩのMCカートリッジの場合で計算してみてください。1MΩとたいして変わらないことに気が付くはずです。ゲイン上げればMC対応というだけです。

S/Nの良いヘッドアンプに見せかけるにはヘッドアンプの入力抵抗を小さくしたいというちょっとばかり、悪く言うと禁じ手なことをしたくなるわけです。MCカートリッジのような何がつながれるか分からない小さい入力には、SN比でない出力から出て来た雑音が入力から入ったものがすべてとした入力換算雑音というこれまた都合の良い数値マジックが出て来るのです。2μVの出力に雑音があった場合2μV×1/32(30dB)=0.0625μV=-144dBV -144dBVと聞いたら凄いと思います。これをSN比に直すには仮にカートリッジの出力0.3mV=-70dBVですからSN比=-70dBV-(-144dBV)=74dB SN比だと74dBな訳です。
カセットテープ並みですね。もっと言うと0.1mVのカートリッジなら-80dBV SN比=-70dBV-(-144dBV)=64dB SN比だと64dBですよ。入力換算雑音-150dBを謳っていながら、カートリッジなしでボリューム上げたら盛大なサーノイズ出たらおかしな話ですね。ですからメーカー製で高い入力抵抗なんてやらない訳です。通常は100Ω~200Ωくらいです。
おまけ
仮に入力インピーダンス10Ωゲイン30dB=32倍のヘッドアンプがあったとします。
MCカートリッジは1Ω/0.05mV出力 0.05X32=1.6mV出力
同様にDL103は40Ω/0.3mV出力 0.3X32=9.6mVとはなりません。
40Ω:10Ωの負荷で分圧されて0.06mVになる訳です。0.06×32=1.92mV出力
ただでさえ小さい出力のMCカートリッジを大きな負荷で減衰させてまで見せかけ特性重視の例です。まさに前述の禁じ手です。
低インピーダンスカートリッジは低出力で高インピーダンス出力カートリッジは高出量で都合出力は同等になる訳です。
このため0.05mVカートリッジも0.3mVカートリッジも同じ音量で鳴るから正常だと思う人もいればDL103の出力小さいので故障したのかと思う人も出てくるわけです。0.3mVの高出力特性と音質を台無しにしている例です。どんなカートリッジがつながれるか分からないものに、これをやるとはだれも思いません。ハイ受けの基本を破ったら音が悪くなるのは確実です。
お願い、最近のユーチューブを信用して見てはいけません。
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