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高性能化のための部品選別 GICフィルター

昔はアナログ回路用に高精度部品は存在しました。今日はコンデンサーで高精度部品を考えてみます。下の写真のコンデンサーは、双信電機がかつて製造していたポリスタイレンコンデンサーという、高精度な精密コンデンサーです。実際に使われていた用途は高精度なアナログフィルター回路です。例えばFAXやFSKの復調回路の極めて高い精度でフィルターを製作するのに必要な部品でした。
表示から分かるように±0.5%です。従って価格も極めて高額でした。用途が民生用で
ないので高価格でも構わないものです。


ではこれを民生用オーディオに使えば音質が良くなるでしょうか?
それは費用対効果では全く期待できません。
音質は良くなりませんが特性精度が向上します。部品で音が良くなるのではなく特性精度が上がるのです。この違いです。チャンデバに使うGICフィルターは、特性精度を上げるためには、使用するコンデンサーの相対誤差を小さくしなくてはなりません。18dBバタワース特性ではすべてのコンデンサーの値が同じ定数です。例えば0.1μF(100nF)のコンデンサーがハイパスフィルター(以下HPF)で3個ローパスフィルター(以下LPF)で4個必要です。ですからステレオ左右で14個必要になります。HPFとLPFの交差するクロスポイントはこの値がすべて同じであれば左右精密になります。また下降するカーブ肩特性もHPF、LPFで同じになります。それは、この14個をすべて同じ値にすることで可能なことです。それではこれを実現するために一番最初の写真の±0.5%のコンデンサーを使えば簡単だとまず考えます。でもそれは入手不可能なことです。
そこでどうするかというとタイトルの部品選別という手法を用います。

この写真はテスターと言う電圧電流抵抗が計れる測定器で有名なサンワのLCRメーターLCR700での選別写真です。ソート機能で合否判定できます。
わかりやすいように100nF設定で選別しています。100%の±1%とだと101と99の表示なので分かりやすい説明だと思います。この実測写真は100.2nFですから+0.2%の誤差です。合否判定は0.5%にしてありますのでPASS表示になります。
部品の選別はこのような手法しかありません。
このコンデンサーはオーディオ用ではありません。基本的にオーディオ用受動部品は存在しないと考えて良いと思います。また別の機会に書きたいと思いますが高精度部品=音が良いではありません。特性精度を上げるために高精度選別をして特性が精密になることで音質に考慮している訳です。部品の使用方法には適材適所と言うことがあります。

大量の中から選別組み合わせする作業は決して簡単なものではありません。
そして選別しても必要数がそろわないことすらあります。
ですから高精度部品は高額なのです。量産メーカーではできるだけ、高精度部品の使用を色々な意味で押さえなくてはなりません。同じGICフィルターでも単純な可聴周波数帯域外をカットするLPF単体ならここまでの精度はいりません。


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