回路構成(ディスクリート構成はは必ずしも良くはない)
- 2016/11/18
- 11:04
アナログでは、時々ディスクリート回路なので音が良いとか、性能が優れているとかなんか時代錯誤を感じることがある。ディスクリートとは何ぞや、それは個々の単体部品で構成した古い時代の回路構成方法である。トランジスタを10個以上使う回路は当たり前に、1つのチップに収まる。これがオーディオで多用されているOPAMPと呼ばれるICだ。昔は演算増幅器と言っていたのでオーディオ用とは思わない人も多い、今は演算はマイクロコンピュータが行うのでオペアンプと言えばオーディオ用と言った方が良いかも知れない。一つのウェハ―上に構成される回路は、均一で安定で低雑音が約束されている。
昭和50年代のオーディオの古い取り扱い説明でも見てもらえばわかるが、もうその頃からディスクリートなんていう言葉は消えつつあった。使用半導体IC2個トランジスタ20個FET1個ダイオード5個とかIC使用を誇らしげに書いてあった。というよりオーディオ製品もICを用いなければ高性能化(品質の均一化)は図れない時代に突入していた。
そして現代は、トランジスタで増幅回路を組んでも価格が高くなるばかりで、それどころかオーディオ用に開発された特性のトランジスタや、低雑音部品が需要がないため姿を消した。入手困難度は真空管の比ではない。それなのにディスクリート構成に何を求めようというのだろう。部品で音が良くなると主張する人にとっては、ディスクリートという言葉が無くなっては非常に困ることだ。抵抗やコンデンサーの受動部品交換して、音が鬼の首を取ったように良くなったと言えなくなってしまう。回路設計より部品に頼ることは他力本願に他ならない。
下の写真は、音質向上のために設計した超低雑音電源回路基板であるが、昔風の半導体数を書き並べれば、IC4個、トランジスタ6個、ダイオード6個、ブリッジダイオード2個といった構成だ。電源としては大規模な回路をIC使用によって比較的コンパクトにまとめた。部品だけで高音質高性能は望めない。回路あっての部品だということも忘れてはいけない。さてこれをディスクリートと言うか言わないかの問題だが正しくは、今の時代ディスクリート回路は、存在しないということだ。
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